手帳を見ても記録が残っていないのでわからないんだけど、記憶を遡るとおととしの7月終わりあたりから読んでいたはずだから、1年半くらいかかったことになるのか。
感想。以前も書いたことがあると思うんだけど、読みやすくておもしろい。なぜ読みやすいかというと、もとは新聞小説だったからだと思われる。2〜3ページを1つとする塊が、10近くから20近く集まって1つの章を構成していて、全体としてはもちろんひとつの流れを形成しているんだけど、途中からでも物語に入っていけるように作られている。例えば、徳川家康に関連する、とある戦国大名とか、戦国武将の物語が挿入されたりしているように。そこだけを読んでも、ちょっとした短編みたいなできばえなんだよね。
歴史上の人物としての徳川家康をどう評価するかは人それぞれで、それがまたおもしろいはず。ただわたしが、少なくとも学校で学んできた知識から評価すれば、したたかな簒奪者であり、江戸幕府を立ち上げた偉大な創業者だと思います。簒奪者の部分に関しては、世間一般に言われる、タヌキおやじのイメージそのものだな。そういう見方に、戦乱のない世を作るために奔走した人物という、別の方向を示してくれた作品だと思います。
今のところは達成感でいっぱいであるとともに、もう1回読むのは嫌だなと(爆)。次は何を読もうかと、燃え尽き症候群みたいになりそうだけど、今はとりあえず同じ山岡荘八の「伊達政宗」を読んでみたい気分。終盤の、政宗の娘婿にあたる松平忠輝や外国勢力と組んで、幕府転覆を狙っているのではないかとされる部分における、政宗の鬼気迫る雰囲気が印象的でねぇ。それを大いなる、静かなる力で屈服させた家康もすごいと思うけれど、それと互角以上に渡り合った政宗もすごいなと。このへんに、山岡荘八は伊達政宗を相当評価していたのではないかと思わせるものがあって、それが読んでみたいという気持ちにさせる。とりあえず各種積ん読の本を読むのが先かな。
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